今回は、練習を頑張れば頑張るほど起こりやすくなってしまう疲労骨折についてです。
ボキッと折れてしまう急性の骨折とは異なり、ハードな練習等により、骨の一部分に繰り返しストレスがかかることで徐々に進行して起こる骨折のことを指します。
腰の骨、太ももの骨、すねの骨、足の指の骨、かかとの骨と、体のどこにでも起こります。
その中で、陸上選手やバレリーナに特に多い疲労骨折が足の第2、3中足骨の骨折です。
(写真の青の斜線の部分が第2と3の中足骨です)
オーバーユース(使いすぎ)が主な原因ですが、その他に、
1.利用可能なエネルギー不足(特に女性)
2.負担のかかるフォームでの運動
3.下肢や足部のアライメント不良、筋肉のアンバランス
などが挙げられます。
1に関しては、骨折全般になりますが、実は一番大切なのではないかと思っています。
思春期になり生理が始まった女の子は、特に気をつけなければなりません。
食事で摂取したエネルギー量以上に運動でエネルギーを消費すれば、相対的にエネルギー量は減ります。
エネルギー不足が続けば、骨粗鬆症や続発性無月経を引き起こす原因となってしまいます。
体内では常に古い骨は壊され、新しい骨が作られるので、正常であれば骨吸収と骨形成はバランスが取れている状態です。
卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンは、骨代謝にも関係しており、骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。
つまり、エストロゲンが低下すると、骨吸収のスピードが早くなってしまうため、骨形成がそれに追いつけず、骨量が低下することになります。よって、無月経が続くとエストロゲンが低い状態となるため、骨量が低下します。
骨量が低下すると、運動の繰り返しの力学的外力で骨の疲労現象が起こりやすくなり、疲労骨折が生じる危険性が高くなってしまうのです。
バレエや体操などの表現スポーツだと、細い事が美しさの基準となっている部分があり、体型をキープするために無理なダイエットを強いられることもあるようですが、疲労骨折を起こしてしまっては踊ることさえできなくなってしまいます。
ぜひ栄養バランスを考えた食事に気をつけていただきたいです。